私は看護師ですが病院の連携室という相談窓口で仕事をしています。
こんな職業を「退院調整看護師」と言います。
この連携室には入院中の方や外来通院中の患者さんがあらゆる悩みを相談しに日々やってきます。
よく
「連携室の相談って何やってるの?」
なんて聞かれるのですが、今回は私たち退院支援に携わる仕事について簡単に紹介していきたいと思います。
そして活動内容を把握してもらって、少しでも悩んでいる患者さんが気軽に退院支援について相談できるようになっていただけたら嬉しいです。
病院の窓口で相談できる内容は?
皆さんは入院や退院に関してさまざまな悩みを抱えたことはありませんか?
例えばこんなことです。
- 入院の費用ってどのくらいになるんだろう。高額になって払えなかったらどうなるの?
- 親が入院中だけど、このまま自宅に帰って大丈夫なのかな・・・
- 他の病院にも通院していて、そこに受診したいけどどうすればいいんだろう
- 入院中に足腰の筋力が落ちてしまって、退院してから自宅で転ばないか心配
などなど。
患者さんによって悩みはさまざまで、こんなことを相談してもしょうがないと思うようなことでも、私たち退院支援に携わるものとしては一人一人の生活状況や病状などを把握してその方に合ったサービスや環境を整えられるよう支援しています。
つまりは、入院や退院後の生活について悩んでいることはなんでも相談してOKということです。
さすがに独身で結婚が出来ないから、相手を見つけてほしい・・・などという相談には無理がありますが、一人で生活していくのが不安な場合には、介護保険や傷害手帳、生活保護などさまざまなサービスの可能性を探りながら、できるだけ不安が少なく生活出来るように支援していきます。
なので、入院や退院後の生活で悩んでいる場合にはその病院の相談窓口にまずは相談してみることが重要です。
相談窓口にはどんな人がいるの?
退院支援を行う部署には、病院によって配属している職種は様々ですが、私の職場の場合、
- 看護師
- ソーシャルワーカー
- 事務員
- 医師
がいます。
4の医師はずっと常駐しているわけはなく、「一応退院支援も担っています」という感じですね。
でもこれらの職種が連携しながら、それぞれの職種が違った視点で患者さんの生活や病状などを考察しながら、その方に合ったベストなサポートを探っています。
この中でも最も頼りになるのがソーシャルワーカーさんです。
ワーカーさん(医療職内ではこう呼びます)は、社会福祉についてかなり広い知識を持っているので、金銭面から健康面、社会的なことまで幅広く患者さんに情報を伝えることが出来る人たちです。
例えば
救急車で緊急入院したけれど、実は生活保護で身寄りもないし、お金もない、保険も未加入、でも手術をしないと助からない・・・
こんなケースって意外と病院ではごく普通にある話です。
でもこのままでは治療も出来ないし、放ったまま入院させておくことも出来ませんよね。そんな時には紹介したワーカーさんが、市役所や保険事務所などあらゆる場所と連絡を取り合って、身元引受人や退院後受け入れてくれるような施設を見つけてくれたりします。
本人が病気で身動きできない場合でも、どうしようもない場合にはワーカーさんが代理で行ったりすることもあるんです。
病院以外と連絡を取り合う場合とは
入院している方でも、外部の方と連絡を取りたい場合は多くあります。
- 利用している介護保険の担当ケアマネージャーやヘルパーさんなど
- 通院している他の病院
- 市役所などの公共施設
このような場所と連絡を取る際に、専門的な病状のことなどを把握している退院支援のスタッフが連絡を取った方がいい場合もあります。
例えば介護保険に関連した場所であれば、この先いつくらいに退院して、どの程度のリハビリが必要になるのかといった情報を伝えた方が、相手側も退院後の利用がスムーズになるというメリットがあります。
もしこのような場所と連絡を取るようなことがあれば、一度退院支援窓口に伝えてもらえるとありがたいです。
患者さんに変わり、継続した利用が出来るようにサービスなどを調整していくことになります。
退院支援の相談をしたらお金はかかる?
退院について何かしらの支援や調整が必要となる場合(介護保険を新しく使いたいなど)やそれについての相談をする場合には、基本的な入院費にプラスでちょっと負担が増えることになります。
でも相談するだけだったり、ただ情報を聞きたい場合には特にお金はかかりません。
(病院によってはかかるところもあるかもしれませんが・・・)
なのでちょっとでも不安を感じたら、ぜひ病院の相談窓口で気軽に相談してみましょう。
一番多い相談は高齢者の介護負担
連携室の相談で最も多いのは、「高齢になった親の介護の相談」です。
- 親が自分で生活ができなくなった
- 介護保険を使いたい
- 家族が遠方のため自宅で介護ができない
このような内容の相談をされることが多いです。
病院という場所柄、治療や病気の進行で体調が急激に悪くなったり、ケガや手術をきっかけに今まで通りの生活ができなくなってしまう高齢者の方も非常に多いです。
介護や病気で不安なことは病院の相談窓口に話してみよう
患者さんの多くは、家族内の事情を知られることに対して「こんな身内の話を聞いてもらうなんて・・・」と相談することをためらう方も多いのですが、実際に支援を受けた方からは「相談してよかった」「安心できた」などの言葉をいただきます。
多くの方が相談するのに抵抗があるような話でも、私たち退院支援のスタッフはその人に合ったサポートをするためにいますので、ぜひ気軽に相談してくださいね。