こんにちは、介護相談なナースのさやみんです。
今回は施設入居を検討している方に向けて「特養」についてのお話をしてみたいと思います。
介護保険施設の中で最も人気が高いのがこの特別養護老人ホーム(特養)になります。
その人気の理由は「入居費用の安さ」ですね。
ですが、実際に特別養護老人ホーム(以下、「特養」と記載します)の詳細な費用を知っている方は少ないのではないでしょうか?
今回はそんな特養の費用を理解するとともに、どんな人が入居できて、どんなサービスが受けられるのかについてもお伝えしていこうと思います。
特養の入居費用 ~10万以下で入居することも可能~
まずここを見ている方が一番気になるのは、「お金」のことだと思いますので手っ取り早く入居費用についてお伝えします。
- 入居する部屋のタイプによって金額が大きく異なる(ユニット型>多床室)
- 介護度によっても金額は変わる(介護度が重いほど、料金が高くなる)
- 本人・家族の経済状況や年金収入によっても変わる
- 入居するための自己負担の費用は以下の通り👇
①賃料(部屋代)
②食費(1日1300~1400円程度)
③介護サービス費
上記3つの費用をすべて支払うことになります。
このように条件や部屋のタイプに応じて、金額が月数万円単位で変わってきます。
なので一概に「○万円」とは言えないので、注意が必要です。
ですが、上記のポイントを理解し、経済状況や希望する部屋のタイプなどが条件に合えば月額10万円以下で入居することも可能です。
ではさらに詳しく費用の詳細を見てみましょう。
従来型個室の場合
①月額の利用料: 35,130円(1,171円/日)
②食費: 43,350円(1,145円/日)
要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
介護保険自己負担額 (1割負担) | 21,360円 | 23,400円 | 25,410円 |
ひと月の合計 | 99,840円 | 101,880円 | 103,890円 |
※1か月30日として計算
※自己負担割合1割、1単位=10円として計算
※介護保険の自己負担額は、自己負担割合に応じて異なります
※この金額に、他の加算は含ませませんので参考までにお願いします
特養は介護度が高い(状態が重い)人が在宅へ復帰するための施設
特養とは介護保険で利用できる施設で、原則要介護3以上の方が利用できる施設になります。
そして皆さんが勘違いしやすいのが在宅への復帰を念頭に置いているところです。
特養に入れば看取りまでしてもらえると思って入所させているご家族が多いようですが、基本的には特養も家に帰るための施設ということになります。
ただ現実としては、終身的な施設になってしまっているという状態です。
そしてサービス内容は
- 日常生活の世話
- 機能訓練
- 健康管理
- 療養上の世話
を介護保険のケアプランに基づいて実施しています。
特養に入居する条件は?どんな人が入れるの?
原則として要介護3以上、自宅で介護出来ない65歳以上の方であれば入居が可能になります。
しかし人気が高い分かなり介護度が重い方が入っているのが現状で、実際は要介護4以上じゃないと難しいと思います。
特養は終身で利用が可能であり、1度入ると看取りまでしてもらえる現状があるためなかなか途中で対処する方は少なく、その方が亡くなるまで空きがないと言う状態が続きます。
そのため数か月、1年以上も空き待ちという状態が続いているのです。
特養の施設にいるスタッフと専門職
介護職員は常に常駐しておりますが、看護師がずっといるわけではありません。
また医師も常駐しているところはほとんどなく、高度な医療的なケアを必要としている場合は入居できないこともあります。
では施設にいるスタッフを紹介します。
- 介護職員(24時間常駐)
- 看護師(昼間のみのことが多い)
- 生活相談員
- リハビリスタッフ
- 栄養士
- 運転手 など・・・
では各職種の役割などについてもお伝えしたいと思います。
介護職員
施設で最も人数が多く、メインで活躍するスタッフです。
利用者の生活全般をサポートする役目を担っており、ケアマネジャーが計画したケアプランをもとに、入浴・排泄・食事などの介護を行っています。
看護師
利用者の健康管理や療養上の世話を主とした役目を担っています。
また健康状態が変化した際には、病院へ詳細な情報を伝えたり、また病院からの情報をもらって退院後の状態を把握できるようにしています。
ちなみに医療行為と呼ばれるものは基本的に看護師が行いますが、介護職員でも吸痰や経管栄養などの資格を取得した場合にのみ実施できるようになりました。
生活相談員
相談員と言ったり、ソーシャルワーカーなどと呼ばれたり名称はさまざまですが、役割は外部と連絡するための窓口になります。
例えば入所希望の方が連絡を取ったり、病院やご家族への連絡も、まずはこの相談員が対応したりする場合が多いようです。他にも利用者や家族の生活全般の相談(金銭面など)、退所後の生活場所などにも対応できる幅広い知識を持っていて頼れる存在です。
ケアマネジャー
施設に入所した方はすべて施設専属のケアマネジャーがケアプランを作成します。
入所前は違うケアマネジャーが担当だった場合でも、入所後は施設専属のケアマネジャーに変わります。
結構このケアマネジャーが変化することで不満を抱える利用者、ご家族の方が少なくありません。
機能訓練指導員
リハビリのためのスタッフです。
作業療法士や理学療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師などの資格を持つ方が少なくとも1人以上は必要と決まっています。
ここで気になるのが
「看護師」ってリハビリ?
ってところですよね。
私自身、看護師をやっていますが、よほど整形外科などに特化していない限りリハビリの専門性って少ない気がします。
でも法的には看護師がリハビリをしてもOK・・・
しかもこのリハビリ職員は「兼務可」となっており、上で紹介した看護師の立場でもOKということになります。
ぜひ専門の職種がいてしっかりリハビリを実施できる施設を選びましょう。
実際に特養に入所出来たケースと決定要因
では実際にどのような状態の方が入所出来ているのかを、実際に退院支援を行った私の経験からお伝えしたいと思います。
- 難病で寝たきり(要介護5)
- 脳梗塞後で機能回復の見込みが無く半身麻痺。ADLは車椅子移動の方。(要介護5)
- 脳梗塞の再発を繰り返し、寝たきりの方で経管栄養中(要介護5)
- 下肢の骨折で回復不能、寝たきりの状態 (要介護5) など・・・
このように疾患や病気はさまざまですが、麻痺や疾患によりかなり寝たきりに近い状態の方が特養へ入所ができているようです。
そして注目すべきは『介護度』です。
やはり特養に入所していく方を見るとほとんどが要介護5で、たまに要介護4かな?という状況です。
一般的には要介護3以上という仕組みにはなっていますが、実際に要介護3で入所出来る方はかなりまれで、長期間空き待ちをしているのが現状です。
また家族状況も入所にとても重要な要件になります。
家族が同居しており家族が頑張ればサポートが出来るような状態の方はなかなか介護度が重くてもなかなか受け入れてもらえません。
どのような方が入所しやすいのかというと
- 独居
- 身寄りがいない・または遠方
- 老々介護で配偶者の負担が大きい
- ネグレクトや虐待疑いがある
など家族などから介護してもらえないケースが優先的に入所できる場合が多い傾向にあります。
そのため特養に入所するためには
どれだけ介護度が重いか
介護のサポート状況(可能な介護力)
が重要になってくるといえるでしょう。
特養に入るための期間は?すぐに入れるの?
この空き待ちの期間はその人の状態や介護度により差があるのが現状です。
しかし実際には1ヶ月待たずに入所出来た方もいます。(要介護5の方)
しかし数年間空き待ちをしながらショートステイでつないでいるという方もいらっしゃいました。
上記で書いたような「すぐにでも介護が必要な方」は早期に入所できることもあるのです。
特養に入所できる期間は?
特養は一度入所すると、特別な入院や退所がない場合には、お亡くなりになるまで入所し続けることが可能です。しかしそれはあくまでも何もトラブルがなく安定している状態で過ごせている場合であり、以下のような状態になってしまったときには緊急で病院に搬送されることもあるのです。
特別な入院とは
- 入院中に転倒、転落をして精査や治療が必要になった場合
- 誤嚥性肺炎になってしまった場合
- 脳梗塞や心筋梗塞など急性期の治療が必要な場合
- がん治療をしたい場合
このような場合は、特養の施設の設備では検査や治療が不十分なため、提携している医療施設などに転院をすることになります。
実際に特養から病院に転院したけれど、経過が良くならず長期入院となり特養を退所扱いになってしまったというケースもありました。
一度入所したらなかなか退所にはならないのが特徴
上記で紹介したような緊急の状態になってしまった場合には病院へ搬送されるケースもありますが、退院後はほとんど元の施設に戻ることはできます。
基本的に3か月以内の入院であれば、OK!
このように特養は一度入所すると終身的に入所ができるのが特徴です。
ご家族としてもやっとの思いで特養に入れたと感じている方も多く、なかなか退所をしない、させない場合が多く、空きが出てこないのが現状です。
しかし中には、様々な理由で希望していないにも関わらず退所になってしまうケースもあるので注意が必要です。
特養に入りたい場合にすること
特養はかなり人気で空き待ちをしている方がたくさんいます。
しかしその中でもすぐに入所できる場合があるとお伝えしました。ここまで読んでみて、もしかしたら家族はすぐにでも入れるかもしれない(介護度が高いなど)場合には、担当のケアマネジャーなどに相談をしてみましょう。
そうすると空き状況の確認や申し込みの手続きなどをすすめてもらうことが出来ます。
また入院中の場合にはケアマネジャーの他にも相談窓口に相談をしてみてもいいかもしれません。
お金、介護、退院場所など…退院についての不安は病院の相談窓口へ~退院支援の専門家とは~
ちなみにオンランサロン会員様には、裏の手法で特養へ入居した方のお話もお伝えしています。
もし気になった場合にはオンラインサロンへ参加してみてください。
必ず他の種類の施設も一緒に探そう
特養に入るには、一種の賭けだと思って「入れたらラッキー」くらいの気持ちで申し込みをしましょう。
他の多くの方が待っている現状で、まず入所できると思わないことです。
そのために、特養と一緒に他の種類の施設も探してみることをおすすめします。
他の有料老人ホームなどは、かなり数も多く探せば空いていることもあります。そして民営の場合にはサービスもピンキリで、介護度が高い方も自立している方も状態にあった施設を選べるようになりました。
肝心なのは金額ですが、探してみると特養程度の10万円程度(ひと月)で入居できる施設も存在します。
しかしそれらは地域によっても異なるため、自分の地域にどんな施設があるのかを把握することからはじめてみましょう。
まとめ
特養は介護度が重く、すぐに介護を必要としている方を優先的に受け入れている施設です。
サービスも介護や医療などの他職種が連携をしながら、利用者の生活を支えているといえます。
しかし実際にはかなり人気で空き待ちの状態が続いており、申し込みをしたからといって確実に入所が出来るわけではありません。
特養を希望する場合には、入所の申し込みと同時に他の施設の情報を調べてみるということも重要です。